坂井獣医科動物病院

/5月 フィラリア予防〈1〉
フィラリアを媒介する蚊は、外はもちろん家の中にも入り込んできます。「室内飼育だから蚊には刺されない」とは限りませんので注意が必要です。マンションの高い階の部屋でも人と一緒について来ることがあります。もちろん、散歩はつねに蚊に刺される危険があります。

これまでネコのフィラリア症が過小評価されていましたが、タヌキやオオカミなどの犬科動物ばかりでなく、猫やフェレットなどにも感染するという報告があります。猫やフェレットは感染の確率は低くても、心臓が小さく、親虫がわずか数匹寄生していても命にかかわりかねないため、犬同様に毎月、予防薬を与えたほうが安心です。

フィラリア症ってどういう病気でしょう
原 因…
蚊に刺されることによってフィラリア(犬糸状虫)に感染して起こる病気です。心臓や肺の血管に寄生し、血液中の栄養分を吸って成長します。そうめん状の長さ17〜28センチにもなる寄生虫です。
症 状…
呼吸困難や咳がでる、運動を嫌がる(休憩を良くとる)、痩せる、貧血気味、腹囲が大きくなる(腹水、胸水)、失神、血尿などが見られます。そのほとんどが慢性経過をたどりますが、時には循環不全をともなう激しい症状を示す急性症もあります。

フィラリアの予防薬は要指示薬です。
フィラリア予防薬は必ず獣医に犬の血液検査をしてもらい、体重を計ってから処方してもらいましょう。獣医ではない人から買ったり、知人から譲られたものを使ったりしてはいけません。

なぜなら、薬剤の安全性は高いのですが、ミクロフィラリア陽性犬に限ってショックを起こすことがあります。また気づかないうちにフィラリアに感染している犬に予防薬を投与すると、薬の作用で死んだ虫が犬の血管に詰まり、犬が突然死することもあります。毎年きちんと予防していたとしても翌年には必ず血液検査を受けましょう。

血液検査と同時に体重測定も行ないます。フィラリア予防薬は犬の体重によって投薬量が決められているため、薬の効果を出すためには正確に体重を計る必要があります。投薬期間は7〜8ヶ月間にも渡ります。その間に体重が増えてしまったらひとつ上の投薬量に変えなければいけません。体重1〜2キロの差だからと思っていると薬の効果は得られません。

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この記事は2006年5月現在制作された内容です。記載内容は予告なく修正、変更を行なう場合が有ります。
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