坂井獣医科動物病院

/2月〈1〉 動物の理学療法
みなさんこんにちは。寒さがこたえる今日この頃です。
2月の日記は11月に2日にわたって動物の理学療法の基礎セミナーに行ってきたお話しをさせていただきます。動物の理学療法といってもまだ、日本では確立されている分野ではなく、これから確立していく分野であると思います。講師はオーストラリアの動物理学療法士ミシェッル・マンク氏でした。

理学療法の経歴
オーストラリアでも比較的新しい職業ではあるそうですが、地位は確立しています。人間の方の理学療法士の資格を取得してから動物の理学療法の資格を取得しなければならず、人間の理学療法士よりも大変だそうです。また理学療法として動物に施す場合は、獣医ではなく動物の理学療法士だけしかできないそうです。まだオーストラリア国内でも30人位しかいないそうです。
アメリカやオーストラリアでは認知度もかなり高くなっていますが、日本の現状はまだ補助療法までにとどまっています。

理学療法士ミシェッル・マンク氏
動物の理学療法にはどのようなものがあるか?

ハイドロセラピー(水泳療法)
【目的】
負荷を減らした運動に適する筋肉、骨の損傷、整形外科、神経学的障害、変形性関節症

水中トレッドミル(革新的な治療法)
【目的】
目的 浮力による負重の減少、水の抵抗による強化、水の深さ、速さ、エクササイズの強度による細かい調整が可能
(科学的効果が証明されている)

マッサージ(治療の為のマッサー)
【目的】
軟部組織と体機能の変化をもたらす。リラックス、治癒効果
老齢、若齢関係なく、すべての動物に効果的である。飼い主さんが家庭治療を続けることが可能である

受動的関節可動域(ストレッチ)
【目的】
筋肉硬結防止、体の知覚の改善

****
なぜ理学療法が必要か?
動物に障害が残ったり、外科手術後、体の部分に問題が生じたときに必要になります。理学療法を実施する前には必ず獣医師ともコンタクトをとり痛みのコントロールをします。その後理学療法を実施します。

理学療法の狙い
損傷もしくは手術部位の疼痛緩和・炎症の軽減・腫脹の軽減・筋肉の硬結感の低下・不快感の緩和、筋肉萎縮・活動性の低下防止に実施します。他にも筋肉の強化、QOLの改善、オーナーの負担の軽減等、様々な効果が期待されています。

理学療法の対象となる一般的状態
交通事故による外傷・骨折の回復・筋肉の断裂・靭帯のねじれ・膝蓋骨脱臼・筋肉の虚弱・萎縮・背中の痛み・脊椎損傷もしくは手術・神経損傷・変形性疾患・整形外科手術後等

2月〈2〉 理学療法の治療法について
この記事は2008年2月現在制作された内容です。記載内容は予告なく修正、変更を行なう場合が有ります。
Copyright (C) 2008 Sakai Animal Hospital All Rights Reserved.