/ 11月〈1〉 アレルギーについて(第1回)
人や動物の体には、「免疫」といって体内に侵入しようとする異物(主に病原体などのたんぱく質)を排除し生態防衛をする働きがあります。ところがその生態防衛は常に自分の有利な反応をとるとは限らず、時には体に不利な反応を起こすこともあります。

アレルギーについて
生態防衛反応が過剰に起きて異常が出る、この不利な状態がアレルギーです。体にアレルギーを起こす異物のことを、抗原もしくはアレルゲンとよびます。正常な犬では、体内にアレルゲンが入ってきても特に症状は見られませんが、アレルギー性皮膚炎の子達は特定のアレルゲンが入ってくると、わずかな量でも体が異常に反応し、くしゃみや目の充血、皮膚のかゆみなどが起きます。アレルギーにはそれぞれの個体にとって常に特定のアレルゲンが入ってくるとおこるアレルギー(ノミアレルギー、食物性アレルギー、接触性アレルギー、薬疹など)と、いくつかのアレルゲンが複雑に関わるアトピーがあります。(アトピーについて詳細は後で…)

アレルギーについて
さらに、アレルギーとアトピーの両方を併せ持つ厄介なケースもあります。また、アレルギーには皮膚だけでなく、アナフィラキシーという全身性に症状が出てショックを起こすもの(ワクチン後のアレルギー)や喘息・気管支炎などの呼吸器症状が出るもの、げり、嘔吐などの消化器症状が出るものもあります。

アレルギーのしくみ
体の中にアレルゲンが侵入すると細胞(抗原提示細胞)がこれを認識します。(いわば体の見張り番のような役割)アレルゲンが入ってくると、自らリンパ節に移動して、リンパ節にいるTリンパという細胞に伝えます。Tリンパ球は仲間のBリンパ球に訴えかけ、プラズマ細胞という形に変化し、IgEという抗体(たんぱく質の一種)を作るために指示します。
IgEはもともと、体内に侵入した毒物を撃退するための抗体の一種ですが、アレルギー体質を持つ犬猫の場合は、体がアレルゲンに過剰に反応し、このIgEが必要以上に産生されてしまいます。作られたIgEは体内の肥満細胞と呼ばれる細胞の表面に付着し、次にアレルゲンが入ってくるのをじっと待ちながらひそんでいます。これを感作といいます。

アレルギーのしくみ
実は肥満細胞の中には、炎症や痒みの原因となる顆粒(ヒスタミンなど)を秘めています。
一度感作を受けてしまった体内に、再度アレルゲンが入ってくると、このアレルゲンは肥満細胞にくっついているIgE抗体に結合し肥満細胞を爆発させ、秘めていた顆粒(ヒスタミンなど)を一気に放出させます。この顆粒こそ血管を拡張させたり、血管から体液や炎症細胞が染み出させて皮膚や粘膜を腫れあがらせたり、強い炎症や痒みを引き起こす原因物質なのです。

11月〈2〉 アレルギーについて

この記事は2009年11月現在制作された内容です。記載内容は予告なく修正、変更を行なう場合が有ります。
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