/ 1月〈2〉 毛球症の治療について
生命に関わるようなお話をしてきましたが、実際に治療をすれば大半は短期間で改善します。

毛球症の治療
毛球症の治療には内科治療と外科治療があります。最近は内科治療が優先されることが多いですが、どちらを選択するかはそれぞれの症状によって多くのことを考慮して決定されます。内科治療の要点はまず鎮痛です。胃内のガスの発生が著しい場合は内服を行うことがあります。食事を摂らないことに加えて、水も飲まないような状態、高齢の場合、脱水状態がある場合には補液が必要です。次にストレスを最小限にしてあげることです。よって、特別な場合をのぞき、入院や通院はあまり望ましくありません。
次に急性期を乗り切った後は消化管のうっ滞に対する治療です。内服薬を用いて家で投薬してもらうのがいいでしょう。
うさぎ
外科治療は、胃切開による毛球の除去です。全身麻酔をかけると、胃腸の蠕動運動がより低下しやすくなり摘出手術後のフォローが重要です。草食動物であるうさぎは、長期の絶食には耐えませんから出来る範囲で早期に流動食などを与える必要があります。

うさぎの毛球症を予防するにはどうすればいい?
ペットショップなどには、毛球症予防をうたったサプリメントがたくさんありますが予防効果があるのかはエビデンスがないのでわかりません。パパイヤやパイナップルなどのタンパク分解酵素が効くということを根拠にした商品は、健康時には問題がないと思いますが、食欲の低下している時に乾草には与えない方がいいでしょう。
うさぎは胃潰瘍になりやすい動物です。食欲が落ちた原因に、万一胃潰瘍が関与していたら、タンパク分解酵素は潰瘍部分の組織を消化してしまう可能性があります。
ミネラルオイルのペーストは猫と同様に胃の中の毛を腸に下ろしていく効果がある程度期待できるでしょう。しかしこれを好むうさぎがいる一方で嫌いなうさぎもいますので好きな子は与えるといいでしょう。
うさぎ
つながり便が出る健康なうさぎには毛球症予防をするべきだと思いますし、毛球症を繰り返し発症するうさぎにも再発予防をするべきでしょう。それでは何を進めるがベストかというと乾草をよりコンタクトにより多く食べることが最善の予防法だと思います。そのためには、ラビットフードを含む乾草以外の食物を適切に制限すること、1日何回乾草をいれかえることです。
乾草はうさぎが食べている間にうさぎ自身の吐く息で湿ってしまいます。うさぎはからからに乾いた乾草を好みますから、乾草は入れっぱなしではなく、こまめに入れ替えてやる方がより多くを食べますし、常時胃のなかに乾草が入っている状態をつくることができます。取り除いた乾草は天日干しすればまた与えられます。ラビットフードをあげたときに一気食いをするうさぎには乾草をまず与えて、ある程度食べてからラビットフードを与えるのがいいでしょう。ただし、切歯の不正噛合など他の疾患のために十分な乾草が食べれないうさぎには乾草の多食は難しいと思いますので次善の策が必要になります。
どうしても乾草が十分に食べられないうさぎが毛球症を繰り返すようであれば、予防的に蠕動促進薬を常時与えることも必要かもしれません。

飲み込む毛を減らすことも予防につながりますのでこまめなブラッシングをすることもよいと思います。長毛のうさぎは毛玉をつくらないようにしましょう。
ブラッシングを嫌ううさぎはストレスになる可能性があります。ブラッシングに慣れさせることも必要です。どうしても嫌がるうさぎは短毛でれば人間の手でマッサージするようにしてあげるのもいいでしょう。長毛のうさぎはなんとしてもブラッシングになれさせる必要があります。すでに毛球症になって食欲が低下してしまったうさぎにはストレスがかかるのでブラッシングはやめましょう。食欲が安定してからブラッシングしましょう。

いかかでしたか?うさぎの毛球症ひとつとってもたくさん気をつけてあげることはたくさんあります。少し生活スタイルを変えてあげるだけでうさぎのQOLはよりよいものになるとおもいます。

参考資料AS

1月〈1〉うさぎの毛球症について2

この記事は2011年1月現在制作された内容です。記載内容は予告なく修正、変更を行なう場合が有ります。
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