眼を診察するとでこんなことがわかる
人と犬との眼の病気を比べた時、大きく異なるもののひとつに白内障が挙げられます。人の老人性白内障の有病率は、初期の白内障では40歳代で約30%、80歳代で100%であり、日本全体での白内障手術件数は年間100万件になります。人でもとても一般的な病気なので、犬の白内障を人の白内障と同様に考えてしまいがちですが、実はそこに大きな落とし穴があります。人の白内障では、老齢性の疾患であることが多いため、犬の白内障も年をとらないと発症しないと考えられる傾向にあります。しかし、犬の白内障の手術症例は5歳以下の症例が非常に多いのです。高齢犬に対して飼い主さんが積極的な治療を望まないという理由だけに限らず、老齢犬に認められる水晶体の白濁は、多くの場合、白内障ではなく核硬化症である場合があるのです。白内障があるとしても、水晶体のごく一部に認められる程度であり、視力を障害されていないことが多いのです。犬において視力を害し手術が必要なほどの白内障は、実は若齢で発症することが多いのです。特に白内障好発犬種では、若齢のうちから積極的に眼科検査を行うことを勧めます。
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