坂井獣医科 Sakai Animal Hospital
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  2012年1月 眼の病変について  
  じつは眼の病変を正確に診断することで、全身性疾患を早期に発見できます。動物においては、眼は口以上に物を言うのです。
 
   
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眼を診察するとでこんなことがわかる
人と犬との眼の病気を比べた時、大きく異なるもののひとつに白内障が挙げられます。人の老人性白内障の有病率は、初期の白内障では40歳代で約30%、80歳代で100%であり、日本全体での白内障手術件数は年間100万件になります。人でもとても一般的な病気なので、犬の白内障を人の白内障と同様に考えてしまいがちですが、実はそこに大きな落とし穴があります。人の白内障では、老齢性の疾患であることが多いため、犬の白内障も年をとらないと発症しないと考えられる傾向にあります。しかし、犬の白内障の手術症例は5歳以下の症例が非常に多いのです。高齢犬に対して飼い主さんが積極的な治療を望まないという理由だけに限らず、老齢犬に認められる水晶体の白濁は、多くの場合、白内障ではなく核硬化症である場合があるのです。白内障があるとしても、水晶体のごく一部に認められる程度であり、視力を障害されていないことが多いのです。犬において視力を害し手術が必要なほどの白内障は、実は若齢で発症することが多いのです。特に白内障好発犬種では、若齢のうちから積極的に眼科検査を行うことを勧めます。

 
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もうひとつの落とし穴は、白内障は単に眼が白くなって見えなくなるだけの病気ではないのです。未熟白内障以降の白内障では、ぶどう膜炎、網膜はく離、緑内障などの合併症を高率に引き起こすという点は、以外に知られていない事実です。急に眼をつむる、もしくはしきりに眼をこするなどの主訴で来院し、角膜に傷もないのにひどい結膜充血が認められる、といった症状を経験することが良くあります。数日後に眼が開くようになってようやく白内障があることが分かり、眼科の動物病院に来院されますが、その時点ですでに網膜剥離が進んで、手術不適応となってしまっていることが少なくありません。このように、若齢性や糖尿病性の白内障は数日のうちに急激に進行することが多いため、初発から未熟期の白内障を発見したら、数日から数週間おきに検診をし、手術の最適期を逃さないようにしたいところです。


 
  白内障の以外にも、老齢性の疾患と思われていても実は若齢から発症する眼疾患が数多くあります。緑内障、網膜委縮、網膜はく離なども、その後発犬種では若齢のうちに発症して失明にいたる場合があります。これらの種類では若齢のうちから眼科定期健診を行い、早期の診断および治療をし、失明をできるだけ予防していきましょう。

 
     
 

2012年1月 眼の病変と高血圧の関係について

 
  この記事は2012年2月に制作された内容です。  
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