坂井獣医科 Sakai Animal Hospital
   〒923-0867石川県小松市幸町3-21 TEL0761-21-2471 FAX0761-21-2451 アクセス:JR小松駅より徒歩10分
HOME
医院概要
治療案内
 セミナー案内
診察室日記
診察室日記
  2012年1月 眼の病変と高血圧の関係について  
  人の高血圧は生活習慣病の1つにもあげられ、日本人の65歳以上では、高血圧とその関連疾患が医療費のトップになっています。
 
   
  画像3

私たちが医療機関を受診すると、たいていはまず血圧測定をうけることになります。しかし、私たちが動物たちを診察する際には、体重、体温、心拍数などは測定しても、血圧測定まで実施することは少ないのではないでしょうか。これは、決して動物に高血圧が発症しないからではないです。人にくらべると少ないとされていますが、犬や猫でも基礎疾患のない本態性高血圧症は報告されています。動物において、血圧計を用いた血圧測定は比較的煩雑であり、病院側には少々面倒で、動物にとっては負担になります。そのため、身体検査の一環としての血圧測定はあまり行われていません。それでは、血圧計以外に血圧を知る方法はないでしょうか?高血圧は全身の血管の異常と綿密に関係しており、動脈硬化による梗塞や出血を引き起こします。それらの血管の変化を身体の中でみることができる唯一の場所、それが眼底なのです。

 
   
  画像4

網膜は、内側を網膜血管系、外側を脈絡膜血管系により栄養をもらいます。高血圧によりそれら血管系の関門が破たんすると、それぞれ高血圧性網膜症、高血圧性脈絡膜症と呼ばれる病変が引き起こされます。高血圧性網膜症は、収縮期血圧が180mmHg以上になると高率に発症し、網膜動脈の蛇行や梗塞、網膜浮腫、細動脈周囲の漏出液、網膜出血、滲出性網膜剥離(しんしゅつせいもうまくはくり)などの病変が認められます。高血圧性脈絡膜症は、より高い収縮期血圧(通常230mmHg以上)にならないと発症しませんが、急激な出滲出性網膜剥離により突然の失明を引き起こします。これらの症状は高齢の猫に発症することが多く、突然眼の中が真っ赤になったもしくは突然眼が見えなくなったといって来院することがあります。そのように広範囲の網膜剥離が起こり失明した状態では、収縮期血圧はすでに200mmHgを超えていることが多いのです。しかしあきらかな失明が起こる前から定期的な眼底検査を行い眼底出血や網膜血管の蛇行などの所見をとらえることで、初期の高血圧(収縮期血圧が180mmHg程度)を発見し、失明を予防することができます。もちろん確定診断には血圧測定と全身検査が必要になります。

 
   
  画像5

高血圧は眼の症状だけでなく、腎臓病、心疾患、神経疾患なども引き起こします。定期的な眼底検査により高血圧の診断と治療を早期に行うことができれば、失明を予防するだけでなく、それらの疾患の予防にもなります。高血圧のほかにも、高脂血症、貧血、止血異常などは、網膜血管に変化をもたらします。また、ぶどう膜皮膚症候群、猫伝染性腹膜炎、子宮蓄膿症、腫瘍などは、全身症状に先行して眼に病変を示すことが多いでしょう。

 
   
 

日本においての白内障手術症例数の多い犬種
トイプードル、アメリカンコッカースパニエル、柴、キャバリアキングチャールズスパニエル、フレンチブルドック、ジャックラッセルテリア、ミニチュアシュナウザー、シーズー、ゴルデンレトリバー、ヨクシャテリアなど
緑内障有病率の高い代表的な犬種
柴、バッセットハウンド、アメリカンコッカースパニエル、シーズー、サモエド、トイプードル、秋田、ビーグル、マルチーズ、ボストンテリア、ペキニーズ、ジャックラッセルテリア、ビションフリーゼ、シベリアンハスキーなど

 
 
参考資料 ヴェト アイより
 
  2012年1月 眼の病変について  
  この記事は2012年1月に制作された内容です。  
  12月記事/1月記事〈1〉へ/診察室日記に戻る/  
   
   
   


 

記載内容は予告なく修正、変更を行なう場合が有ります。
Copyright (C) 2011 Sakai Animal Hospital All Rights Reserved.