/ 11月〈2〉 僧帽弁閉鎖不全症について
左心房と左心室の間にある2枚の薄い弁が僧帽弁です。僧帽弁は心房が収縮した際に開いて心室内に肺から血液を送り出します。心臓の弁は血液を一方向にだけ流すバルブの役割をしています。
心臓が肥大化したり、僧帽弁が変形を起こすと弁がしっかり閉じなくなり、全身に送り出されるべき血液の一部が心房内に逆流して起こる病気が僧帽弁閉鎖不全症です。僧帽弁閉鎖不全症が起こると、血液が肺のほうに逆流し血液の循環が悪くなり肺のうっ滞(異常な量の血液貯留)を招きます。

咳や呼吸困難などの症状が特徴で、マルチーズ、ポメラニアン、シーズー、プードルなど小型犬に多くみられます。
症状については、心内の雑音が確認されるだけで特に見た目の変化は無く進行してくると、発咳がはじまります。発咳がはじまると、肺のうっ血や肺水腫に進行する可能性があります。運動後、夜間から朝方にかけ咳が激しくなります。

僧帽弁
僧帽弁
僧帽弁閉鎖不全症の進行
【初 期】
聴診するとはっきりとした逆流性の心雑音がわかります。レントゲン検査で心臓の拡大がみられます。
この時点で治療を開始することが必要になります。
◆対応
塩分の高い食べ物は控えましょう(心臓に負担になります)
食事療法を始めましょう(療法食)激しい運動は控えましょう。


塩分の高い食べ物
【軽 度】
散歩や興奮時に咳がでて苦しくなる為、運動することを避けたがるようになります。
喉になにか詰まったような感じの咳がみられます。この時点で投薬を開始することが必要です。
◆対応…内服薬の開始
過度な運動を避け適度な運動を心がけましょう。食事療法が必要です。

【中等度】
軽い運動時にも咳がでたり、呼吸が速くなったりします。運動することを避けたがるようになります。元気や食欲がなくなります。夜間や早朝にも咳が出ることがあります。
◆対応…内服の開始、咳がひどい場合は利尿剤などの内服も加えます。
運動は控え排尿、排便程度の軽いものにします。

【重 度】
日常生活においても咳が出ます。少しの運動でも心不全の症状がでます。安静時でも呼吸困難や失神などがみられます。治療しなければ死にいたります。
◆対応…内服させます。場合により強心剤も必要になります。
運動は極力控えます。

食事療法


QOLの向上
最後に
心臓疾患は軽度からの食事療法や投薬がその子QOLの向上に役立ちます。まず、動物病院で、身体一般検査やレントゲン、心電図検査などを行い適切な治療プログラムを決めることが必要です。
投薬も開始したら途中で止めず獣医師と相談しながら指示された服用を厳守しましょう。
僧帽弁閉鎖不全症自体は、状態をこれ以上よくすることが難しい病気です。そのためこれ以上症状を悪化しないように維持することが寿命を延ばす秘訣です。

参考資料 イラストでみる犬の病気 講談社

11月〈1〉 心臓病について

この記事は2008年11月現在制作された内容です。記載内容は予告なく修正、変更を行なう場合が有ります。
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