/ 12月〈2〉 アトピー性皮膚炎
アトピーというのはアレルギーの一種ですが、犬では「さまざまな環境抗原に対してIGE抗体を産生しやすい体質」をアトピー体質と呼び、このような体質ではハウスダストマイト、ノミ、花粉などさまざまな環境抗原に対して血液中にIGE抗体を産生しやすくなり、その結果、強い痒みや脱毛、紅斑といった皮膚症状を起こします。

日本では犬猫のアトピー性皮膚炎のアレルゲンとしてはハウスダストマイトが最も多く、そのほかノミ、日本スギ、ヨモギなどが多いとされています。最近では人でも動物でもアトピー性皮膚炎が増加傾向にあるといわれています。この理由のひとつには住宅事情と犬の飼育形態が変化し、機密性の高い住居に犬が飼い主さんと一緒に住むことによりハウスダストマイトなどのアレルゲに接触する機会が増えたことも一因であるようです。また、アトピー性皮膚炎の患者は皮膚角質のバリア機能に異常があるため皮膚が弱く、アレルゲンを取り込みやすい体質といえます。
もし皮膚の機能がしっかりしていて、アレルゲンが皮膚に入り込まなければ免疫反応はおきにくくなります。したがって、免疫的に異常によりIGEを産生し易くても、皮膚のバリア機能がしっかりしている場合にはアトピー性皮膚炎は起きにくいともいえます。

一緒に住むことにより
もちろん免疫異常がなくてはアトピーは起こりませんが、それと同時に皮膚のバリア機能が低下していることが重大な要因の一つでもあります。
同様に、環境中にアレルゲンが存在することもアトピーの要因となります。皮膚のバリアー機能が低下していても、また、IGE産生に関する免疫異常があっても、環境中にアレルゲンが存在しなければ発症することはありません。このようなさまざまな要因が複合的に存在して、アトピー性皮膚炎は発症します。

症状
顔面、四肢の指間、脇、内股などに紅斑や脱毛、引っかき傷、強い痒みを認め外耳炎を起こすこともあります。決まった季節(春や夏など)に悪化します。慢性化すると症状が1年以中に渡って見られたり(通年性といいます)、皮膚が色素沈着したり、肥厚して苔癬化という症状を示すこともあります。二次的に膿皮症、マラセチア皮膚炎などが見られることがあります。発症年齢は役70%が3歳以下、約85%が5歳以下です。好発犬種は柴犬やゴールデン・レトリバー、シーズー、ウエストハイランド・ホワイトテリア、などです。

症状
この続きは第3弾でお話します。

12月〈1〉 アレルギーについて(第1回)

この記事は2009年12月現在制作された内容です。記載内容は予告なく修正、変更を行なう場合が有ります。
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