坂井獣医科 Sakai Animal Hospital
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  2017年2月 犬のルーツついて5  
 

犬種のルーツに関して4回にわたりお話してきましたが、今回の「元 運送業」「元 ランナー」で最終回です。愛犬や愛犬のお友達のつきあい方を理解し、さらによい関係を築いてください。

 
     
 

元 運送業犬のレーダーチャート元 運送業
バーニーズ、シベリアン・ハスキー、セント・バーナード、グレート・ピレニーズなど

   
 

 収穫した農作物を乗せた荷車を引いたり、そりを引いたり、首にワインなどをぶら下げて運んでいた犬たちです。体格が大きく馬力があることから、重たいものを運ぶ仕事で活躍。吹雪が吹き荒れる山中でも
果敢に行動し、忍耐力もあります。

   
しつけのポイント
1. 力強い犬に負けぬようリードの持ち方に工夫を
 重い荷物を何キロも運んでいた元運送業犬は体格が大きく馬力があります。それゆえ、リードを引っ張っていなくてもリードにかかる力は強め。飼い主さんは脇を締めて、両手でリードを持つようにしましょう。リードを持つ位置に結び目を作り、そこを握るようにすると、より安全に歩くことが出来ます。
   
2. 歩き出しの合図「行くよ」を教えよう
 忍耐強い面が強まって頑固になると、ときに散歩の途中で歩かなくなる傾向が。抱っこが難しい体格なので、「行くよ」の合図を教えておくのがおすすめ。飼い主さんが歩き出す時にいつも「行くよ」と声をかけながらおやつを与えます。繰り返し練習すると、「行くよ」の合図で歩き出す習慣がつきます。
   
付き合いかたのポイント
1. 歩き方にメリハリをつけて楽しませて
 遠くの町まで歩いて物資を運ぶなどしていた元運送業犬は「歩く」ことが得意です。楽しい散歩をすると、本能的欲求が満たされて、一緒に歩いてくれた飼い主さんに好意を持ち、従順な性質が高められます。ただ単調に歩くよりも「ゆっくり歩く→早足で」など早さに変化をつけながら歩くと愛犬がわくわくしてより楽しい散歩になります。
   
2. 公園や海辺などに行き一緒に景色を眺めよう
 荷物を運搬するかたわら、見張り役も兼ねていた元運送業犬は、景色や人の往来を眺めることで本能が満たされることがあります。公園や海辺など、広々としたところへ行き、景色や人々の往来を見せましょう。さまざまなものに慣れさせる社会化になり、社交度をより高められます。
 
     
 

元 ランナー犬のレーダーチャート元 ランナー
ダルメシアン、サルーキ、ボルゾイ、イタリアン・グレイハウンドなど

   
 

 ウサギの模型を追わせて速さを競うドッグレースや、ガゼルなどの高速で走る野生動物を追いかける狩りで活躍していた犬たちです。走る能力にすぐれ、時速60〜70kmほどのスピードで走る犬も。ファイトがあり集中力や持久力もあります。

   
しつけのポイント
1. あえてゆっくり歩かせる習慣を
 元ランナー犬はいつも走りたい欲求をもっています。何かの拍子にいったん走り出したら追いかけるのは至難の業。リードが飼い主さんの手から離れて交通事故にあうこともあります。普段の散歩では「散歩=ゆっくり歩く」と覚えさせ、走らせず、ゆっくり歩く楽しみを教えてあげましょう。
   
2. 追いかけそうなものを見つけたら「まて」で阻止
 元ランナー犬は、動くものを追う本能があります。追うときの瞬発力の強さでリードが離れる危険が。散歩中に猫など、愛犬が追いかけそうなものを見かけたときは、リードを軽く引っ張り「まて」で止まらせます。「まて」で愛犬が止まったらおやつを与えます。
   
付き合いかたのポイント
1. ドッグランなどで思い切り走らせよう
 走るのが得意な元ランナー犬は、時には走りたい欲求を満たしてあげることも大切です。ドッグランなど、思い切り走っても安全な場所で走る楽しみを味あわせてあげて。「楽しい場所に連れて行ってくれる」飼い主さんに、愛犬はより好意を持ち、良好な関係が築きやすくなります。また、ストレス発散にも。
   
2. 「おやつキャッチ」で楽しみながら信頼を深めよう
 元ランナー犬と仲良くなるには、得意の「集中力」を使った遊び「おやつキャッチ」がおすすめ。飼い主さんはおやつを数粒手に握り、1粒ずつ愛犬の頭上から落として、キャッチさせます。落ちてくるおやつに愛犬が集中できるこの遊びを通じ、「飼い主さんは楽しい人」と犬が感じると信頼関係が深まります。
 
     
     
   

 5回に渡って、犬種のルーツとそれに沿った愛犬との付き合い方をご紹介してきました。愛犬の日々の行動も元をたどれば納得のいくものだったのではないでしょうか。昔から人と犬は切っても切れないかけがえのない関係。それぞれの個性をよく理解して、愛犬に合ったトレーニングを見つけてください。
 来月は『誤食』についてお話します。ごはんやおやつ以外の食べてはいけないものを食べてしまう困った行動です。今回はネコちゃんについてお話しますが、ワンちゃんも同様によくあるケースですので必読です。

 
     
  この記事は2017年2月に制作された内容です。  
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