坂井獣医科 Sakai Animal Hospital
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診察室日記
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  2017年12月 細菌性尿路感染症について  
 

 今年も早いもので、一年の締めくくりの時期となりました。寒さも厳しくなってまいりましたが、いかがお過ごしですか?さて、今回は冬に多くなる病気・細菌性尿路感染症についてお話しします。

 
     
 

細菌性尿路感染症とは

   伴侶動物における代表的な細菌感染症です。腎臓・尿管・膀胱および尿道における感染症のことを言います。
   
どうしておこるのか
 

 尿路には病原体からの感染に対する防御機構が備わっています。そうした防御機構が一時的・または永らく働かなくなり、各種病原体が尿路内に増えることで発症するといわれます。
 特に冬は水を飲む量が減るため、尿の濃度が濃くなる=細菌の量が増えてしまうのです。

   
尿路感染症の症状
  飼い主様から実際にうかがう&スタッフや獣医師がお尋ねする事の多い症状です。
<排尿障害>
排尿中に尿が途切れる。少しずつしか出ない。排尿時に痛がる。尿が出ない(尿閉)。
<頻尿>
尿全体の量は同じだが、一回の尿量が少なく回数が多い。しょっちゅうトイレに入るのを目撃する。
突然トイレ以外の場所で排尿をする <不適切な排尿>
突然トイレ以外の場所で排尿をするようになった。
<血尿>
尿全体が赤い。始めは普通の尿だが、最後の方の尿のみ赤い。
※普通の尿に見えても、検査をして初めて出血が確認できる場合もあります。
<異臭を伴う混濁尿>
普段と比べて尿が匂う。普段と比べて尿が濁っている。
※尿中の細胞成分の増加や異物(細菌・結晶など)の存在などがあると見られるため。
   
尿=膀胱だけの病気とはかぎりません
   「おしっこの問題なのだから、膀胱に問題があるのだろう」と思いますよね。もちろん、急性の膀胱炎のようなケースは多いのですが、中には思わぬ病気が隠れていたり、副作用として症状が出ていることもあります。
<使用中のお薬によるもの>
免疫抑制剤や抗がん剤など。
<内分泌疾患>
糖尿病。クッシング症候群(犬)。甲状腺機能低下症(犬)。甲状腺機能亢進症(猫)など。
<尿路疾患>
尿石症。尿路における腫瘍など。
<生殖器疾患>
前立腺炎など。
<膀胱の機能不全>
椎間板ヘルニアを含む、各種脊髄疾患など。
<物理的要因>
尿道カテーテルの持続的使用など。
   
もしかしてと思ったら
   おしっこに違和感を感じたら、とにかく検査をしてみることです。できればその日のおしっこ(人間と同じで、始めよりも終わりかけのおしっこの方が結果が出やすい検査もあります)を液体の状態で病院へお持ちください。
  おしっこをステック状の試験紙にしみこませて、PH値やたんぱく量を調べたり、高速回転させて沈んだものを顕微鏡で確認します。
※時間が経つにつれて、どんどん酸化してしまうので本来の尿の状態がわからなくなってしまいます。
  試験紙顕微鏡で確認
   
抗菌剤を一定期間続けよう
  薬剤耐性菌について 細菌性尿路感染と診断された場合、抗菌剤を処方します。先生の考え方やその子の状態によって変わりますが、抗菌剤は指示された期間続けることになります。「もう普通にしてるから、薬を飲まなくてもいいだろう」と途中で投薬をやめてしまうと、万が一菌を抑えきれていなかった場合に病気がぶり返したり、最悪の場合は菌が抗菌剤に慣れてしまい、その薬が効かなくなってしまうこともあるのです。
   
 
     
  ご家族そろって穏やかな新年を  いかがでしたか?当然ですが、わんちゃんねこちゃんはお話しができません。「トイレを失敗した!反抗期か!?」と怒るのではなく、様々な可能性を考えて様子を観察してあげたいですね。
 寒い日が続きますが、ご家族そろって穏やかな新年をお迎えください。来年も診察室日記をよろしくお願いいたします。

 
  参考:Veterinary Information 2017 No.18


 
  この記事は2017年12月に制作された内容です。  
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